Beef or Chicken

離婚してよかった!  

唯一無二の親友であるS君との突然の別れ

そろそろ本気で生きていかないといけない。

あの日から3年経ったんだから。

そう。S君が亡くなってから3年経ったんだから。



その日の夜、いつものように妻は俺より少し遅くに帰宅した。
結婚して4年経つが仲はいい。
妻は初婚。俺は再婚。歳の差15歳。



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いつものように妻は今日あったことなどしゃべり始めた。

仕事のことなど俺が聞いてもわからないのだがいつもあったことを話してくる。




携帯が鳴る。
見るとS君からのようだ。

S君は酒飲むとよく俺に電話かけてくる。

(また飲んでるのか)

(でも今日はずいぶん早い時間だな)

S君とは新卒後に同じ会社に入社した同期。




俺は転職を繰り返し今はずいぶん田舎のほうに住んでいる。

S君はずっと同じ会社で働いていたが5年くらい前に辞めて実家に戻っている。

会うことは非常に減っていた。

「もしも~し」
自分が落ち込んでいる時でも彼の電話にはいつも元気にでるようにしていた。






『もしもし』

女性の声…

『Kですけど』

KさんはS君の奥さん。
面識がある。

俺は動揺した。
瞬間的に胸騒ぎがした。
ほんの数秒の間にどんどん心臓の動きが早くなるのがわかった。






『Sが亡くなりました』




どのくらいの時間沈黙が続いたのだろう。

状況が呑み込めなかったし一瞬の間に悪い胸騒ぎが当たったと感じた。





話しを聞いた後すぐにY君に電話をした。

Y君は新卒で入社した会社の先輩。
S君が最も信頼を寄せていて俺も含めて3人でよく飲みに行っていた。

俺よりも先に電話を受けたらしい。

ここでも沈黙が続いたと記憶している。







俺とY君は車で3時間かかるS君の実家に出向き葬儀に出席した。





交通事故で命を落としたS君。
酒を飲んだ帰りのことだったらしい。

葬儀では新しい会社の人が友人代表として弔辞を述べていた。

いくらS君の事を語られても絵空事にしか聞こえない。

俺たちは一番大切な時期にとても濃い付き合いをしていたんだから。

葬儀場に飾られている写真だって俺たちと一緒のものばかりだ。

懐かしかった。

20年も前の色あせた写真を大切にとってあったのだ。

俺も持っているはず。

でもどこにあるのかさえわからない。

彼は大切にしていた。

嬉しかった。

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いつの間にか俺は泣いている。

泣くなと言うほうが無理だ。




「なんで俺より先に」



俺のたった1人の親友なのに

嬉しいときは必ず一緒に飲んだのに

落ち込んでるときは唯一相談できる相手だったのに

離婚前の荒れてる家庭を唯一知ってて心の支えだったのに

俺の母が余命宣告されたときたった1人だけ上っ面の慰めじゃなくしっかりしろって言ってくれたのに






実家のお母さんの体の具合が悪いからと会社を辞めて実家に戻ったのに

そのお母さんが葬儀に出てるってどういうことだよ!





1年後



神経の病が悪化した俺は1年近くの休職を余儀なくされました。

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